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私的固定資産評価概論

土地評価と比準表

土地価格比準表というものがあります。業界人なら誰でも知っているのですが、価格形成要因ごとに値とその結果生じる格差との関係をあらかじめ決めておく一覧表のようなものです。

(こんな説明で分るとは思えないのですが、以下省略します。たぶん、分かる人しか見てないと思うので)

比準表には地域要因に関わるものと個別的要因に関わるものがあります。
これまた不動産鑑定を生業としてやっている人なら誰でも知っているのですが、地域要因にしろ個別的要因にしろ、価格算定という意味では、これはあまり役に立ちません。

地価公示の分科会では一応、地域要因と個別的要因の比準表を決めています(そういう地域が多いと思います)。
なぜかといいますと、これは多人数で共同作業を行うため、とりあえずでも決めておかないといろいろ指数がばらばらになって、実務上不都合なことが多いからです。

例えば、取引事例カードを作成する際に、標準化補正率をデータ入力するのですが、一応でも比準表が決めてないと、方位格差、角地補正などがばらばらになります。
また、地価公示は1地点を2評価員でやっていますので、取引事例にしろ規準先公示地にしろ、比準表がなければ要因格差が2評価員でばらばらになります。

ただこれはあくまで共同作業で歩調を合わせるために行っているものであって、比準表を決めたからといってそれが価格判定に影響を与えることは99%ありません。だから例えば、同じ県内でも分科会が違えば比準表の項目、指数ともに全く異なっています。それで特段問題ないのです。

価格を求めるために、不動産鑑定士が比準表を適用し、これを信じて鑑定評価額を決めるなどということは、まずないでしょう。
ただし、特定の画地条件については有効な場合もあります。これはどちらかといえば例外ですね。

鑑定に限らず土地評価においては、原則比準表はあまり機能しません。
不動産鑑定をやっていますと、とにかく経験的にそれは分かってしまいます。しかし、自分的にその理由が明確に整理できたのは比較的近年のことです。

仕事として、20年くらい前から土地価格比準表の分析や作成を行ってきました。主に固定資産の路線価計算に用いるためのものです。これは主に多変量解析を用いて行います。
やってきたのですが、有効でないことも当初から分かっていました。しかし、仕事だからとにかくやらなければならないし、本当に有効か無駄かは分析をやった当人にしか分からなかったりします。
報告書を受け取った依頼者は、概ね結果を採用するのみで、分析結果を細かく見たりはしないものです。見たところで、とにもかくにも比準表は必要ですし、ほかに作成する手段がなければ、とにかく出てきたものを採用するしかない、という実情もあります。

ということで、長年これで大丈夫かな・・・といった思いをしてきたのは事実としてあります。
もっとも土地評価を生業としていると、いろんな意味で心配なことだらけになってくるのが普通で、当初は心苦しかったことが、次第になにも感じなくなるということはあります。

話を戻して、なぜ土地評価においては比準表はあまり有効ではないのか。
わたしが到達したひとつの結論を次回、解説してみたいと思います。

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