判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)
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2カ月ごとに最新判例に関わる記事が追加されていく予定です。
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記事一覧
R2.11号(最高裁R2年3月24日)家屋の評価の誤りによる損害賠償請求権の除斥期間の起算点
固定資産税定期レポート2020.11号
最高裁令和2年3月24日判決 (損害賠償請求事件)
テーマ:家屋の評価の誤りによる損害賠償請求権の除斥期間の起算点
第1 事案の概要
1 Xが所有する本件家屋は、昭和57年9月に新築された非木造家屋である。
2 Y(東京都)は、昭和58年6月、本件家屋の建築当初の再建築費評点数を18万3400点と算出して、本件家屋について価格決定をした。
3 本件家屋は、平成3年3月に増築された。
4 本件家屋の平成4年度以降の価格は、①昭和57年に新築された部分(新築部分)と②平成3年に増築された部分(増築部分)を別個に評価して各価額を算出して合計する方法で決定されている。
5 新築部分の昭和60年度から平成18年度までの各基準年度の再建築費評点数は、平成18年の再建築費評点数(上記2)を基礎として、乗率比準評価方式、評点補正率方式等により順次算出された。
R2.9号(札幌高裁H30年4月17日)市街化調整区域内の雑種地の評価
固定資産税定期レポート2020.9号
札幌高裁平成30年4月17日判決 (固定資産税評価審査決定取消請求控訴事件)
(最高裁平成30年10月18日上告不受理決定により確定)
テーマ:市街化調整区域内の雑種地の評価
第1 事案の概要
本件は、釧路市長が、Xが所有する本件各土地の平成27年度の登録価格を3億3375万3700円と決定したことに対し、Xが、本件登録価格は賦課期日(平成27年1月1日)における客観的な交換価値を上回ると主張して、委員会に対して審査申出をし、棄却決定(本件決定)がなされたため、Xが、Y市固定資産評価審査委員会に対し、本件各土地の適正な時価であるとする1億2080万円を上回る部分について本件決定の取消しを求めて提訴し、第一審(釧路地裁平成29年9月26日判決)が「本件登録価格が本件各土地について評価基準によって決定される価格を上回るものではなく、また、本件各土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るものといえない」としてこれを棄却したところ、Xが控訴し、控訴審において「本件各土地の適正な時価は1億3350万1480円であり、これを上回る部分について本件決定の取消しを求める」旨の請求を予備的に追加した。
R2.7号(東京高裁H29年8月24日)老人ホーム・デイサービス施設の駐車場のうち、来訪者用のものが住宅用地の敷地に該当すると評価できるか否かが問題となった事例(消極)
固定資産税定期レポート2020.7号
東京高裁平成29年8月24日判決 (固定資産税等賦課処分取消請求事件)
テーマ:老人ホーム・デイサービス施設の駐車場のうち、来訪者用のものが住宅用地の敷地に該当すると評価できるか否かが問題となった事例(消極)。
第1 事案の概要
1 概要
東京都知事(を受けた東京都練馬都税事務所長)の固定資産税等賦課決定を受けたXが、要旨以下の通り主張してその取り消しを求めたもの。
(Xの主張の要旨)
(1)Xは、その所有する各土地(本件各土地)を一体の敷地とする建物(本件家屋)をA社(㈱ニチイ学館)に賃貸し、A社は、本件家屋において介護付き有料老人ホーム及び通所介護(いわゆるデイサービス)を提供する小規模多機能型居宅介護施設を経営していた。
(2)賦課決定は、「駐車場として使用されている各部分(以下「本件各駐車場」という。)については地方税法349条の3の2及び702条の3に規定する固定資産税及び都市計画税の課税標準の特例の適用を受ける住宅用地に該当しない」とする。
(3)確かに、入居者の中には,自動車を自ら運転し,本件各駐車場に駐車する者はいない。
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R2.5号(最高裁第三小法廷R2年3月24日)固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に係る民法724条後段所定の除斥期間の起算点
固定資産税定期レポート2020.5号
最高裁第三小法廷令和2年3月24日判決(損害賠償請求事件)
テーマ:固定資産税等の税額が過大に決定されたことによる損害賠償請求権に
係る民法724条後段所定の除斥期間の起算点。
第1 事案の概要1
1 概要
本件家屋を所有し、その固定資産税等を納付してきた上告人が、「本件家
屋の建築当初(昭和58年)の家屋評価等に誤りがあったことから、その後
各年度に過大な固定資産税等が課された」と主張し、被上告人(東京都)に
対し、国家賠償法1条1項に基づき、固定資産税等の過納金及び弁護士費用
相当額等の損害賠償を求めた。
2 事実経過の詳細
(1)家屋評価に関する評価基準の改正の経緯等
ア 家屋評価の概要
評価基準は、家屋の評価について、木造家屋及び非木造家屋の区
分に従い、各個の家屋について評点数を付設し、当該評点数に評点
1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるも
のとし(第2章第1節一)、各個の家屋の評点数は、当該家屋の再建
築費評点数を基礎とし、これに家屋の損耗の状況による減点を行っ
て付設するものとする旨を定めている(同二)。
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R2.3号(最高裁第三小法廷H30年7月17日)建築基準法第42条1項3号所定の道路該当性判断(再々掲)
固定資産税定期レポート2020.3号
最高裁第三小法廷平成30年7月17日判決(固定資産評価審査決定取消請求事件)
【再】
【控訴審】大阪高等裁判所平成28年6月23日判決
【第一審】京都地裁平成28年1月21日判決
テーマ:建築基準法第42条1項3号所定の道路該当性判断
今回は、平成30(2018)年8月号、令和元(2019)年8月号のレポ
ートでも取り上げた上記判例を更に取り上げさせていただきます。
この判決のインパクトは大きく、各市におかれても「課税部門で昭和25年当
時の現況を調べるなんて無理」「建築担当とどう連携してゆくのが良いか」「納税
者から申し出があった時だけ対応することではだめだろうか」というような
様々な検討がなされているようです。
この点について、ヴァリューテックコンサルティング様の昨年11月のセミ
ナーでも講師を務めていただいた名古屋大学法学部教授の高橋祐介先生が昨年
9月に名古屋大学法政論集に発表された論文(高橋祐介・名法283号235頁
「固定資産評価基準と建築基準法(平成30年法67号による改正前のもの)4
2条1項3号所定の道路該当性〈判例研究〉1」も参考とさせていただきながら、
再度検討してみたいと思います。
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