判例解説レポート(当社顧問弁護士:ひかり弁護士法人アイリス法律事務所作成)
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記事一覧
R7.3号(東京高裁R4年4月27日)太陽光発電施設用地の評価にあたり造成費相当額を加算しなかったことが違法と判断された事例
長野地裁令和3年10月29日判決(違法確認請求事件)
東京高裁令和4年4月27日判決(同控訴事件)
テーマ:太陽光発電施設用地の評価にあたり造成費相当額を加算しなかったことが違法と判断された事例
1 事案の概要
本件は、長野県松川町の住民が、太陽光発電施設用地として使用されている土地に関し、固定資産税の登録価格が不当に低廉であり、固定資産税の賦課徴収を違法に怠っていると主張して、同町の町長の「怠る事実」の違法確認を求めた住民訴訟です。
本件で、住民が違法確認を求めた対象は、平成24年度から平成30年度まで複数の年度に亘っており、固定資産税の賦課徴収を怠っていると主張した対象の土地も、本件土地1から本件土地4まで複数あり、非常に複雑な事案です。
結論として、第一審の長野地裁は住民の請求を一部認容し、
R7.1号(徳島地裁R6年7月17日)私道補正率0.3の一般的合理性とこれによって時価を適切に算定することができない特別の事情について判断された事例
徳島地裁令和6年7月17日判決(固定資産税賦課処分取消等請求事件)
テーマ:私道補正率0.3の一般的合理性とこれによって時価を適切に算定することができない特別の事情について判断された事例。
1 事案の概要
(1)原告が所有する本件各土地は、分譲地のために開設された通路であり、いわゆる①コの字型私道(その起点及び終点はいずれも市道に接道しており、他に接道する市道等はない私道)、②行き止まり私道である。
(2)原告は本件各土地について①公共の用に供する道路(地方税法348条2項5号)に該当する、②私道補正率0.3に一般的合理性がない、③本件では私法補正率0.3によっては時価を適切に評価できない特別な事情があるとして審査申出をしたが棄却されたため、その取り消しを求めて本訴を提起した。
R6.11号(最高裁S47年1月25日)登記名義に基づいて賦課された固定資産税を支払った者は、不動産の真の所有者に不当利得返還請求できるか
最高裁昭和47年1月25日判決(立替金請求事件)
テーマ:登記名義に基づいて賦課された固定資産税を支払った者は、不動産の真の所有者に不当利得返還請求できるか。
今回は、古い最高裁判例ですが、奥深い判例です。固定資産税の課税についてより深く考える趣旨で検討してゆきましょう。
1 事案の概要(相続等の事実経過を一部簡略化した)。
本件不動産は、もともとYの所有であった。
ところが、Yが知らない間に、登記名義が転々移転しXの登記名義となった。そこで、Yは、本件不動産が自己の所有であることを理由としてXの登記を抹消する訴訟(登記抹消手続請求訴訟。以下「別訴」という。)を提起した。その結果、Yは勝訴しXは敗訴した。
R6.9号(東京地裁R2年12月4日)間口狭小補正の適否に関して「隅切」の意義が問題となった事例
東京地裁令和2年12月4日判決(審査決定取消請求事件)
テーマ:間口狭小補正の適否に関して「隅切」の意義が問題となった事例
1 事案の概要
本件は、本件土地の所有者Xが、Y(東京都西多摩郡瑞穂町)に対し、固定資産課税台帳登録価格に関する審査申出棄却決定(以下「本件決定」という。)につき、1566万6000円を超える部分の取消しを求めた事案である。
2 争点と裁判所の判断
本件の具体的争点は、①間口狭小補正の適否、②がけ地補正の適否、③本件各土地につき、評価基準の評価方法では適正な時価を算定できない「特別の事情」が存在するかの3点であるが、今回のレポートでは①(間口狭小補正の適否)について検討する。
(1)前提:関係法令等の定め(抜粋して整理した)
R6.7号(京都地裁R6年5月16日)地方税法343条7項の「みなす課税」を怠った違法が認められた事例
京都地裁令和6年5月16日判決(違法確認請求事件)
テーマ:地方税法343条7項の「みなす課税」を怠った違法が認められた事例
1 事案の概要
本件は、向日市の住民Xが、Y(向日市)に対し、下記「怠る事実」を主張して、地方自治法242条の2第1項3号に基づき、これが違法であることの確認を求める住民訴訟である。
(Xが主張する「怠る事実」の表示)
(1)訴外Aが所有する土地(従前地)について仮換地が為された土地(本件仮換地)について、
① 既に土地区画整理法上の使用収益開始の通知がなされ、
② 従前地の所有者であるAがビル建築工事を開始して使用収益を開始していることが明白である。